btml02.gifテラピーめーる1-1 やり方を間違えるとあぶない腹筋運動


テレビ番組の健康法をやって、かえって痛くなった人がけっこういます。

「どうされましたか」
「腰が痛いんです」
「何か思い当たる原因はありますか」
「いや、何も……」
「何か普段と違ったことをされましたか」
「ええと……、そういえば腹筋運動をしました。テレビで腰痛の予防にいいといっていたものですから」

 テレビで、こんな運動をしましょうという番組を観て、それをやったらどこかが痛くなったという方が時々みえます。

 1日1万歩は歩きましょうとか、ダンベル運動でダイエットしましょうとか、ジョギングしましょうとかもその類いです。
 ヨガや○○式体操で傷めたという方もおられました。
(つい先日もテレビでダイエット体操をやっていて、腰が痛くなったという方がおられました。2000.1)

 運動は悪いものではありませんが、急に無理な運動を始めるのは危ないと思います。

 腹筋運動も注意が必要な運動です。
 腹筋の強化が腰痛を改善することは事実です。でも腹筋運動のやり方を間違えると、腰痛はよくならないばかりか、余計にひどくなることもあります。

 痛みのきついときは、運動よりも安静が第一です

腰痛を予防・改善する腹筋運動

 では腰痛を改善するような腹筋運動とはどのようなものでしょうか。
 仰向けに寝た場合を説明します。

 I09_KK1.gif 必ずひざを立てます。

 I09_KK2.gif 腹筋に力を入れて固くします。

 I09_KK3.gif 6秒から10秒こらえます。

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 それだけでおしまい。1日1回、多くても2回くらいで十分です。これだけ覚えて下さい。

後は興味のある方への補足説明です。

1日1回で十分なのは

 1日1回で十分というのは、筋肉は使った後、休めてやる方が強くなるからです。
 やりすぎると逆効果。筋肉は筋疲労を起こして弱くなります。

上体を起こさないのは

 上体を起こす必要はありません。
 靭帯や軟骨に傷がある場合、上体を起こしたり寝かせたりすると傷口を広げる可能性があります。
 もし上体を起こすとしても、頭か肩が浮く程度、おへそをのぞく感じです。首の悪い方は無理に頭を起こしてはいけません。

効率よく筋肉が鍛えられるアイソメトリックトレーニング

 全力か出せる力の8割程度の力で10秒ほど筋肉を収縮させると、大変効率よく筋肉が鍛えられます。
 このような方法をアイソメトリックトレーニングと呼びます。

なぜ、ひざを立てるのか

 さて、忘れてはならないのが、ひざを立てるということです。
 なぜそうするかを説明すると長くなるので、単純化して述べます。

 骨盤が前に倒れて腰椎がそらされると、腰を傷めやすいと考えてください。腹筋はうすっぺらくて、肥満や出産などでも容易に伸ばされてしまいます。腹筋が弱って伸びてくると骨盤が前へ倒れてきて、腰痛が生じやすくなります。

 一方、骨盤と脚の前側をつなぐ筋肉もあります。股関節を曲げる筋肉と呼んでおきましょう。
 この筋肉が縮んだ場合も、骨盤は前に倒れやすくなります。デスクワークや車の運転を長時間すると、この筋肉は縮んで固くなってしまいます。そうなると、まっすぐ立つときに腰に痛みを感じやすくなります。

 つまり、腰痛の予防や改善には腹筋は強化した方がいいけれども、股関節を曲げる筋肉は鍛えない方がいいわけです。

 脚を伸ばしたまま上体起こしをすると、腹筋より股関節を曲げる筋肉に力がはいってしまいがちです。ですから、わざとひざを立てて、股関節を曲げる筋肉には力を入れにくくし、腹筋に力が集中するようにするわけです。

腹筋運動で腰を傷めるのは

 冒頭に紹介したような方たちは、たいてい、脚を伸ばしていたか、上体起こしを繰り返しすぎたか、筋肉を休める時間をとらなかったかのいずれかです。

 ところがちゃんとやり方を説明したのに、わざわざ腰を傷めるようなやり方をして、「あきませんわ」という方もいます。

 「どうしてそんなふうにやったのですか」とたずねると、「脚を伸ばした方が鍛えられると思ってとか」、「体を起こさないといけないのかと思って」とか、「たくさんやればやるほどいいんじゃないかと思って」とか、「昔そういうやり方でやっていたから」という答えが返ってきます。
 その気持ちわからないでもありません。ですから、こんなくどくどとしたお話を書くにいたった次第です。はい。