btml02.gifテラピーめーる10-2 続・マッサージで体のゆがみをなおすには


●変形した骨や軟骨は元に戻るのか

「先生、一度、骨が曲がってしまったら、元には戻らないですよね」
と、質問されることがあります。

 確かに、元に戻りにくいのは事実ですが、全く元に戻らないわけではありません。
ある方へ曲がったということは、元の方へも曲がる可能性があるわけです。

 骨や軟骨(くどくなるので、以下、骨と言えば軟骨も含んだものと了解してください)は、長い間、一定以上の力が加わり続けると形が変わるという性質をもっています。体をゆがんだままにしておくと骨が変形するのも、そういう性質からです。
 例えば、歯並びの矯正のように、一定期間、歯に力を加えると、歯の土台になっている骨が変形して、歯並びを変えることができます。

 また、必要なところには骨が造られていき、余分な骨は壊されていくという性質もあります。骨の中には骨細胞がいて、骨が造られる時は造骨細胞、骨が壊される時は破骨細胞が働きます。
 例えば、骨折して、骨が多少曲がってくっついたとしても、時間とともにまっすぐに形が変わっていきます。(応変力とか、リモデリングと呼びます。ただし、ねじれてくっついてしまった場合は、リモデリングは期待できません)

 骨や軟骨に変形をともなうゆがみも、牽引をしたり、装具を装着したりして、時間をかけて矯正していくと、改善がみられます。後で述べるように、マッサージも有効です。
 ただ、ウン十年前のまっすぐな体に戻せと言われても、それは無理な相談です。まっすぐな体を保ちたければ、ゆがみの程度の軽いうちにゆがみを矯正しておくことが大切です。
 例えば、捻挫などをしたら、関節の軸がまっすぐになるまで固定をちゃんとしておきましょう。また、動かしにくいところがあったり、人に体がゆがんでいると指摘されたりしたら、早めに専門家にみてもらいましょう。

●体のゆがみは、どこかが痛くなって見つかることが多い

 ゆがみが目立つ場合は別として、体のどこかがゆがんでいるというだけでは、なかなか人は治療を受けようとはしません。
 どこかが痛くなってはじめて、治療を受ける人がほとんどです。
 そういう時に、体のゆがみや骨の変形がみつかることが多いのです。

 例えば外反母趾になっている人はたくさんおられますが、痛くない人はけっこうおられます。痛くなったころには、変形がかなり進行しており、正常な形へは一朝一夕には戻せません。
 変形に気がついたら、軽いうちから治療を開始することが大切です。

 腰や首、顎関節の痛みがなかなか取れない時に、足首を調整すると、驚くほど痛みが改善することがあります。もともと足の捻挫したところをきちっと治療せずに放っておいたために、体の様々な関節がゆがんでそこに痛みが出ていたのです。

 少しどこかがゆがんでいても、日常生活が送れれば、ついそれを治さずに放っておいてしまいがちになります。
 そのツケは、近い将来回ってくるかもしれないし、遠い老後に回ってくるかもしれないし、生きているうちは回ってこないかもしれません。
 でも、後で回ってくるほど大きな利息もついてきます。

 どこかが痛くなって治療を受けた時、体のゆがみがみつかったとします。
 多分、痛みはほどなく引いてくるでしょう。でも、できるだけその時にゆがみもきっちり治すようにされることをお勧めします。
 8‐1号でも書いたように、自分の体のゆがみはわかりにくいものです。自分で判断せず、ちゃんとまっすぐになっているかどうか専門家にみてもらいましょう。
「もう大丈夫、どこも治すところがなくなりましたから、来なくていいですよ」と言われたら理想的ですね。
 
[注意]首や腰の捻挫や椎間板ヘルニアになった人は、その激しい痛みを少なくするために体をゆがめているという場合があります(逃避性側彎)。こういう時、ゆがみが目立ちますが、ゆがみのせいで出ている痛みではありません。
 体をまっすぐにしようとすると痛みが強くなる場合は、そういう損傷だと考えます。
 捻挫やヘルニアが治れば、自然とゆがみは解消します。

●骨に変形がある時のマッサージ

 骨が変形したり、組織が癒着しているような時には、マッサージをしても、すぐには体はまっすぐにはなりません。
 だからといって、無駄なことでもありません。時間はかかるけれども有効だと私は考えています。

 そういう時には、必ずといっていいほど、緊張して縮んだ筋肉があるからです。そういう筋肉をほぐしておくと、体のゆがみは残っているものの、痛みなどはかなり減少します。
 変形がそれほどきつくない人では、一度の施術でほとんどまっすぐになったかにみえることがあります。でも、変形があると、どうしてもそちらへ体が曲がりやすくなるので、また、体がゆがんできます。
 でも、体をゆがませるような緊張を繰り返しほぐしていくと、だんだんと体がまっすぐになってくることが少なくないのです。骨にかかる圧迫が少なくなって、つぶれた部分の骨が再生されやすくなるのでしょう。骨がひっぱられてできた骨棘も、引っ張られる力がかからなければ小さくなることがあります。
 また、体がまっすぐになるにしたがって、筋肉もだんだんと緊張しないようになってきます。

 ただ、骨粗しょう症などで、「年々背骨が曲がってくる」といった方には、効果は現れないかもしれません。回復するより、変形が進行する方が早いからです。それでも、施術をしないよりはした方がいいのではないでしょうか。

●治そうという意志を持ちつづけることが大事

 骨に変形があるような体のゆがみは、いっぺんには元に戻らないので、定期的に継続して治療を受けることが必要です。骨や軟骨はすぐには再生できないからです。
(マッサージやストレッチをして、一度で体のゆがみが治ることがあります。しかし、それは筋肉が緊張しているためだけで体がゆがんでいる方の話です。)

 定期的にというのは、痛みのある時やゆがみ(変形)のきつい時はできるだけ毎日治療をしたほうがいいですが、痛みが軽くなってきたら1日おきにします。もっとよくなってきたら2日おきにし、さらによくなれば3日おきにします。そうやってだんだん間隔をあけていきます。間隔のあけ方は痛みやゆがみがぶり返さないくらいにします。痛みはとれても体のゆがみは残っていることが多いので、間隔のあけ過ぎならないようにしましょう。

 治療の間隔はだんだんとあくようになるとうまくいっていると言えるのですが、間隔のあけすぎになると治療が行き詰まることがあります。
 たまに来て「痛い痛い、よくならない」と訴える方や、「その時はラクだけど、2、3日したらいっしょだ」と訴える方がおられます。そういう方には、もう少し間をつめて治療されることをお勧めしています。

 薬も続けて飲まないといけないものがあります。例えば抗生物質。使う時は効果の切れ目がないように、菌がなくなるまで使いますよね。不徹底な使い方だと、また、菌が繁殖します。その時だけ菌の繁殖を抑えることを繰り返すと、やがては耐性菌が生まれて、その抗生物質は効かなくなります。

 施術もそれと似ています。
 日常生活送れるようになると、治療をつい怠ってしまいます。どうしようもなく痛くなった時だけ施術をするということを繰り返していたのでは、体のゆがみは治りません。ゆがんだまま組織が癒着して、マッサージをしても縮んだところが伸びにくくなることもあります。

 通院の間隔をつめてみたら、それまでなかなかよくならなかった痛みがラクになったという方がおられました。「続けると感じが変わってきた」とおっしゃるのです。
 そういう言葉を聞くと「こういう体のゆがみは、いくら施術をする側だけががんばってみたところで、患者さんが治そうという意志をもって治療を続けてくれないと、なかなか治らないものなんだ」と改めて実感します。