btml02.gifテラピーめーる54 マッサージは痛い方が効くのか?


体の健康法にまつわる間違い・勘違い(1)

「痛い方がよく効くんじゃないのですか?」
接骨院で患者さんの固くなった筋肉をマッサージしている時、そういう質問 をよく受けます。

どうやら「マッサージは相手を痛がらせた方が効く」という誤解が広がって いるようです。
私の場合、筋肉をマッサージする時は、確かに痛い場所や固くなっている場 所をみつけて、そこを刺激しますが、痛くないようにしてマッサージをして います。
痛くないようにマッサージをするということは、刺激を弱くするということ ではありません。
痛くないように筋肉の長さや関節の角度を調整しながら、マッサージをする のです。
(初めて施術を受けられる方は、痛くない位置や角度があることに驚かれる ことがしばしばあります)。
筋肉の長さや、関節の角度を調整し、元の状態に近づけることを、整復といいます。
筋肉や関節を整復すると、痛みが軽くなるか、無くなります。
痛みが少なくなることで、その方向に整復することが正しいことだとわかる のです。
また、触って固かった筋肉が、柔らかくなるのがわかります。
固い状態より も柔らかい状態にしてマッサージする方が、筋肉や血管、神経を傷めず、安全です。
筋肉をマッサージした後に痛みが出るのをもみ返しなどと呼びますが、こう いう方法でマッサージをするようになってから、もみ返しが出る頻度が減り ました。
また、もみ返しが出たとしても、もみ返しの程度が弱くなりました。
痛くなければ、患者さんはリラックスでき、さらに筋肉の緊張がとれます。
痛みと緊張が少ない分、刺激を強くできるので、効果が高まります。
(痛が って動かれると、施術はしにくいものです)。
整復しながらマッサージした方が、マッサージのみをするよりも早くほぐれ、 しかも、整復した状態が比較的長く保てます。
整復しただけでは、整復をやめると、たいてい元の痛い状態にもどってしま います。
けれども、整復をしながらマッサージなどもすると、整復をやめても元の痛 い状態にもどらないことが多いのです。
すると、体のゆがみが矯正され、姿勢もよくなります。

痛くないようにしてマッサージをすると、何だか私が力を抜いたように感じ られるかもしれません。
あるいは、刺激する場所をずらしたように、いわゆるツボをはずしたように、 感じられるかもしれません。
私は、力を弱めたわけでもなく、場所をずらしたわけでもありません。
同じ場所を、同じくらいの力で刺激しています。
痛いところはそっと触れる ようにしています。
痛くない状態にできたら、通常の力で刺激しますから、 初めより刺激が強くなっていることもあるくらいです。
「もっと強くして」と望まれる方もおられるかもしれませんが、十分な強さ で刺激しています。
痛くないからといって、刺激しすぎると、筋肉などを傷めます。
痛がらせる治療は、思い切り力を入れられているように感じます。
実は痛い ところは、ちょっと力を入れるだけで痛いので、痛がらせるだけなら、力は あまり要りません。
痛がらせるようなマッサージは、その時はスキッとしたような気がしますが、 後で痛みが出ることが多いのです。
痛がらせない治療をしようとすれば、どうやって整復するか頭を使わないと いけないし、片手で整復しながら、片手でマッサージするので、手間がかか ります。
決して手抜きをしているわけではないのです。

「痛がらせない方がよい」といった情報は、マスコミやインターネットを通 しては、あまり流れていないのが実情ではないでしょうか。
一度、NHKの「ためしてガッテン」だったと思いますが、痛いくらい強く 刺激すると、翌日は筋肉が腫れて余計に固くなる。痛くないくらいの力で刺 激した方がよいという内容を流していました。
記憶にあるのはそれくらいです。
反対に、足ツボマッサージが紹介され、相手が飛び上がるほど痛がっている 映像は何回も流れたことがあります。
リアクションが大きいので絵にはなるでしょうが、痛がらせるのがマッサー ジという誤解を視聴者に植えつけていると思います。
また、関節の固くなった人のリハビリの際に、痛みを辛抱しなければならな い映像が流れたりすることもあります。
確かにそういう「痛いのを我慢した方が良くなる」場合もあるのですが、リ ハビリとマッサージが混同されているということもあるかもしれません。
東洋医学の本などでも、「押さえて痛みのあるところが阿是穴(あぜけつ) というツボだから、そこを刺激すると良い」、「痛いところをしばらく押さ えると良い」といったことが書かれています。
冒頭に書いたような「痛い方がよく効くんじゃないのですか?」という質問 が出てくるのも、無理からぬことでしょう。
(痛いところを押さえすぎて余計に悪くなっておられる患者さんもおられます。スジを伸ばして痛いという ような場合、押さえれば押さえるほど余計にスジが伸びて悪化します)。
こういう誤解が多いと、痛がらせるマッサージをする先生が増えてくるのも、 当然の結果です。
また、痛いくらい強いマッサージが好きな人はいっぱいおられるのです。
「痛い方が気持ちいい」と断言される方もおられます。
私が整形外科で実習していた頃でしたが、力の弱い同僚のマッサージに「ぜ んぜん効かない」と怒り出した患者さんがおられ、担当者が交替しました。
私もこの仕事をはじめた頃は、痛がらせる方がよく効くのではないかと勘違 いしていました。
「痛いくらいじゃないと患者さんはスキッとしないのではないか」
「ゆるく したら手抜きと思われないだろうか」
という不安がありました。

どれくらいの力でマッサージするのがよいかについては、いろいろ意見は出 ているのです。
触れるだけでよいというものから、痛がらせた方がよいとい うものまであります。
私は仕事を続けるうちに、「痛い方が効く」というのは間違いであり、また 「触れるだけ」というのも効果が出にくいことがわかりました。
(私が超イ ケメンとかであれば、触れるだけでも十分だったでしょうが・・・)。
今では、「痛がらせるマッサージは、その場ではすっきりするような気がするが、筋肉が後でかえって固くなったり痛くなったりしやすい。痛みの少な い状態にしてマッサージすると、筋肉を傷めることが少なく、刺激も強くで きる。その分、効果が高くなり、早く治る」という考え方をしています。

【痛がらせないマッサージのポイント】
筋肉の長さや関節の角度を調節すると、筋肉が柔らかくなり、痛みが減る。
筋肉が柔らかい状態でマッサージすると、筋肉や神経、血管を傷めにくい。
筋肉や神経、血管を傷めにくいので、もみ返しが出にくい。
痛みがすくないのでリラックスでき、筋肉の緊張が少なくなる。
痛くない分、刺激を強くできるので、効果が高まる。
効果が高まると、早くほぐれる。
早くほぐれると、同じ時間に多くの場所を調整できる。
多くの場所を調節すれば、体全体のゆがみがとれ、姿勢も良くなる。
不要な筋肉の緊張が少なくなるので、整復した状態が長く保てる。

なぜ、整復すると、筋肉が柔らかくなり、痛みが減るのかについては、また いずれ解説します。
具体的にどうするかについては、寺田接骨院で施術を受けていただくか、よみうり文化センター京都のボディーテラピー体験講座に来ていただければわ かります。

注:この講座は終了しました。現在、エフィシエの講習をしています。

接骨院の柔道整復師がしているマッサージは、マッサージ師の先生がされて いるマッサージとは、厳密には目的や方法が違います。
正確に言えば、柔道整復術のなかの揉捏術(じゅうねつじゅつ)とか軽擦術(けいさつじゅつ) と呼ばれるものです。
ただ、用語が一般的ではありませんので、ここではマ ッサージという言葉を使わせていただきました。