btml02.gifテラピーめーる56 運動は体にいいのか?


体の健康法にまつわる間違い・勘違い(3)

「やっぱり運動不足でしょうか?」
こちらから何も言っていないのに、接骨院の患者さんからこんな質問をよく いただきます。

みはじめたばかりの時に、こういう質問を受けても、私も回答することがで きません。

「何か、運動不足が原因だと思われる訳でもおありなんですか?」

こうたずねると、 「以前にかかった先生に、運動不足と言われました」 「テレビで運動しましょうとさかんに言っているので、こうなったのは運動 不足のせいかなと思って・・・」 と、そういった答えが返ってきます。

こういう患者さんに日常の様子を聞き取りしてみると、家事で充分動いてお られたり、散歩や買い物で人並み以上に歩いておられたりします。
運動不足 ではない患者さんが、運動不足を心配しておられることが多いのです。

「健康のためには運動が必要」
「○○○は、運動不足が原因」
「◇◇◇には、こういう運動をするとよい」
「運動しなさい」
マスコミも、医療・介護関係者も、行政も、こういったことを言い過ぎでは ないでしょうか。

運動、運動と言い過ぎた結果、運動を充分にしている人にまで、「自分は運動不足なのではないか」と、必要のない不安を抱かせているのではないでし ょうか。
もちろん中には、本当に運動不足の方もおられます。そういう人に限って、 運動不足という自覚がなかったり、逆に、運動不足でない人が、運動しすぎ になったりしておられます。
ですから、自分が運動不足なのかどうか、だれにでもわかるような基準を作 るべきではないかと思います。

もう一つ、動くと痛みが出るような方でさえ、「家でどういう運動をしたら、 早く治りますか?」といった質問をされることが少なくありません。
これは、運動の効果に、過大な期待が寄せられているせいではないかと思います。

確かに、運動によって、病気が治ったり、体の具合の悪い所が治ったりする ことがあるのは事実です。
しかし、運動をして良くなる人は、全体からみれば少数で、しかも、症状の 軽い人がほとんどです。
いったん病気になったり、体を傷めたりした後で、あわてて運動をしても、 そう簡単に、壊れた体は元に戻りません。
時には、こちらから「こういう運動をしておくといいですよ」とアドバイス できるケースもありますが、たいていは「今は安静にされていたほうがいい ですよ」というケースです。

体を傷めた時に必要なのは、多くの場合、運動ではなく、むしろ安静です。
たとえ、どこかが痛くなった原因が運動不足だったとしても、いきなり運動 を始めて良くなることは少ないのです。

安静にするということは、何もしないでさぼっているような印象があるかも しれませんが、動かさないようにして、傷めたところの回復を図る「積極的 な行為」としてとらえてください。
体を傷めたばかりではない患者さんからも、次のような声をちらほらと耳に します。
「○○○で指導された運動をやったら、余計に痛くなりました」
「運動を、すればするほど、悪くなっていくみたいなんです」
「テレビでやっていた◇◇◇運動をしたら、動けなくなりました」
マスコミや医療・介護関係者、行政は、運動に伴うリスクや、運動が合わな い時期や症状があることに、もっと注意を喚起しなければならないのではな いでしょうか。
ただし、体を傷めた時でも、運動したほうが良くなるケースがまったくない わけではありません。
「じっとしていると痛む」とか、「動いていると痛みが少なくなる」といっ たケースでは、運動したほうが良いこともあります。
また、安静にしたほうが良いケースでも、いつまでも安静にしているのがい い訳でもありません。
体の状態に合わせて、体を動かしていくのが望ましい のです。
体が回復したら、急に体を動かすのをやめてしまう人もおられますが、でき れば、落ちてしまった筋力や柔軟性、骨の丈夫さを取り戻すために、それま でやって効果のあった運動を続けられたほうがいいと思います。

体が健康なら、適度な運動は体にいいと言えます。
しかし、体の状態が悪い時には、軽い運動ですら、体に負担になることもあ ります。
そういう状態で運動するなら、専門家の指導の下に行なってください。
または、ある程度、体が回復してから行なうようにしてください。

また、激しすぎる運動は、体を故障させたり、体内に活性酸素や老廃物を発生させたりするので、良くありません。
スポーツ競技に生きがいを感じている人は別として、運動をするなら、年齢や体力に合わせた適度な有酸素運動がよいでしょう。

筋力をつけたいとか、体脂肪率を下げたいという場合には、一定以上の強さ の運動をしたほうがよいこともあります。このことについては、また、改め て書きたいと思います。

安静にすべきか、運動をすべきかは、おおまかなものですが、次のようなこ とを目安にされるといいと思います。

(1) 少し動いても痛い時は、安静に重点を置きましょう。患部を動かさず にできる運動があるなら、してもかまわないでしょう。

(2) 患部をある程度動かしても痛くなくなれば、痛みの出ない範囲ででき る運動をしましょう。動作は痛みの出る手前までにしてください。

(3) 動いているほうが楽になってきたら、体の状態をみながら、徐々にさ まざまな運動を取り入れていきましょう。

運動で体をよくしようとする時には、次の点に気をつけてください。

(1) はじめから頑張り過ぎない。(ダンベルやチューブなどで負荷をかけ る運動や、スクワットなどの荷重をかける運動、エクササイズボールを使う などの普段やりなれない運動は、充分回復してからにしましょう。)

(2) あせらない。(筋力が落ちるのを心配される方もおられますが、筋力 は体が良くなってから鍛えれば、たいていは元に戻ります。)

(3) 期待しすぎない。(運動の効果は、少しずつ現れるもので、すぐ目に 見えて現れてくるようなものではありません。)

(4) 無理をしない。(運動にはリスクが伴います。無理をすると逆効果の こともあります。)

(5) コツコツ、根気よく、気長に。(運動でよくなる人は、少しずつ効果 を積み重ねることで、回復しておられます。)

(6)バランスよく。(運動の内容が偏らないようにしましょう。)